• 2023.07.07
  • 中毒

16:マカダミアナッツ【犬】【中毒】

犬にマカダミアナッツを与えるとふるえや元気消失などを起こすことがありますので与えるのはNGです

概要

犬にマカダミアナッツを与えるとふるえや元気消失などを起こすことがありますので与えるのはNGです。原因物質は特定されておらず、カビ毒のほか同定されていないナッツの成分、製造過程での混入物など色々と仮定されています。誤飲例では犬の体重1kgあたり2.4g程度から症状が出始めると報告されています。

臨床徴候(症状)

多いものから順に元気消失weakness、運動失調ataxia、嘔吐、振戦tremor、高体温がみられます。 血液検査では血清リパーゼの上昇が見られたものの全ての犬で48時間後には改善が見られました。

原因物質

不明です。候補としてナッツ自体の成分、製造過程での混入物、マイコトキシン(カビ毒)などが原因ではと言われています。

中毒量

実験では犬1kgあたり20gのローストマカダミアナッツの摂取で症状が出ました。誤飲報告例では元気消失が1kgあたり2.4g~62.4gで、嘔吐が7g~62.4kgで生じたと報告されています。8割近い症例で12時間以内にこれらの症状がみられました。

中毒を起こしやすい犬種・動物種

小型犬では中毒量も少なくなるので、少量の摂取でも中毒を発現する可能性があります。

催吐の必要性

不明ですが、早期に胃内から除去するのは有効と思われます。

治療

特効薬はないので対症療法を行います。報告ではソルビトールなどの下剤と活性炭を併せることでマカダミアナッツの消化管の通過速度を上げ、さらに毒素の吸収を抑えると報告されています。

注意すべきこと

通常中毒を起こした犬は24時間から48時間で症状が落ち着きます。ASPCA APCCに寄せられたマカダミアナッツ中毒の犬は全例が回復したということでした。日本でもクッキーやチョコレートに含まれ人気のナッツですが、誤食しないよう保管場所には注意しましょう。

参考

  • HANSEN, S. Macadamia nut toxicosis in dogs. VETERINARY MEDICINE-BONNER SPRINGS THEN EDWARDSVILLE-, 2002, 97.4: 274-276.