• 2023.06.02
  • 中毒

6:シリカゲル【犬】【猫】【異物】

代替テキスト

概要

シリカゲルは透明で硬く小さな粒でビニール袋に入れてお菓子の乾燥剤としてよく使われています。消化管から吸収されず犬や猫などペットに対して毒性は非常に低いとされています。シリカゲル自体は毒性が低くても袋を丸呑みすると腸閉塞の可能性はあるので,誤飲には注意が必要です。

臨床徴候(症状)

シリカゲルそのものは毒性が低いですが,袋ごと誤飲した場合は腸管の細い小型犬や仔犬では消化管に詰まらせ腸閉塞に陥ってしまう危険があります。水分を吸収して淡い青や赤に変化するシリカ青ゲルが入ったものには粘膜刺激作用があるので,多量に誤飲すると吐いたり下痢など消化器症状を起こすかもしれません

原因物質

シリカゲル

中毒量

お菓子や電化製品の乾燥剤として小袋に入っているものの中身を誤飲しただけでは中毒やそのほか症状を呈する可能性は低く,そのため中毒量も不明です。粒が擦れて口や食道の粘膜がただれたりするおそれはあります。

中毒を起こしやすい犬種・動物種

日頃から人の食べ物に興味を示す犬では注意が必要です。

催吐の必要性

胃内に留まっている際は有効です。袋ごと誤飲したかもしれない場合は閉塞を防ぐためにも早めに受診しましょう。

治療

少量のシリカゲルを誤飲した場合,シリカゲル そのものによる大きな毒性はなく治療の必要性も低いとされています。上述したような消化器症状があった場合は対症療法を行います。シリカゲルを袋ごと誤飲してもし袋が腸に詰まってしまったた場合は開腹して摘出する必要があります。

注意すべきこと

一口に乾燥剤といっても,成分は様々です。多く使われているシリカゲルは基本的には単体で飲んでしまう分には毒性が低く安全性は高いですが,乾燥剤として用いられている物質には生石灰など誤飲すると危険なものもあります。生石灰が使われていると水と反応して強い熱を発するため,やけどやアルカリによる腐食の危険があります。この場合は吐かせる処置もできないため,対応が難しくなります。 誤飲の疑いがある時は乾燥剤の種類が獣医師にも伝わるよう現物を持って行ったり,写真を撮って持参すると診断や対応の参考になるでしょう。

参考

  • 久和茂(監訳),森川玲(訳),2018,犬と猫の毒物ガイド,学窓社
  • 日本中毒情報センター https://www.j-poison-ic.jp/general-public/response-to-a-poisoning-accident/chemical-products/ 2022/12/25参照