• 2023.06.09
  • 中毒

8:ツツジ【犬】【猫】【その他】【中毒】

ツツジ属の一部の種にはグラヤノトキシンなどの毒性のある物質が含まれているため,犬猫だけでなく広く動物に中毒を起こします

概要

ツツジ属の一部の種にはグラヤノトキシンなどの毒性のある物質が含まれているため,犬猫だけでなく広く動物に中毒を起こします。実験では犬1kgあたり7μgのグラヤノトキシンの非経口投与で嘔吐が起こります。人間ではツツジの蜂蜜による中毒も報告されています。飼い主の方もツツジの摂取には注意が必要です。 日本では4月から6月頃にレンゲツツジ(Rhododendron japonicum Suringer)の花が開花し目を楽しませてくれます。ツツジ属の花にはアザレア(Rhododendron simsii)やシャクナゲ,アルペンローゼ(Rhododendron ferrugineum)など美しく人気の花が多いですがこれらは有毒であるため基本的にはペットにも人にも毒性があります。

臨床徴候(症状)

摂取で食欲不振,嘔吐,腹痛,頻呼吸からの呼吸抑制などが起こります。 日本でよくみられるレンゲツツジもグラヤノトキシンを含むため同様の症状をペットに起こすと考えられます。

原因物質

ペットではアザレアとアルペンローゼによる報告があります。葉に含まれるグラヤノトキシン(アンドロメドトキシン)が有毒物質として知られます。

中毒量

実験では犬1kgあたり7μgのグラヤノトキシンの非経口投与で嘔吐が起こることが確認されています。また,迷走神経を切断した(vagotomized)犬では1kgあたり20μgの投与で呼吸刺激や呼吸抑制など呼吸不全が生じることも報告されています。経口での中毒量については本記事著者の調べた範囲では不明でした。もしご存知の方がいらっしゃればご一報ください。

中毒を起こしやすい犬種・動物種

小型犬では中毒量も少なくなるので,少量の摂取でも中毒を発現する可能性があります。

催吐の必要性

吐かせて胃内から除去するのは有効と思われます。

治療

治療は対症療法になりますが,徐脈に対してはアトロピンの投与についての記載がされています。花にも毒性があり,人間では花や蜜の摂取で中毒を起こした例が報告されています。蜂蜜による中毒は海外ではマッドハニー中毒(mad honey poisoning)と呼ばれています。

注意すべきこと

生垣に植えられているツツジは毒性がない品種も多いのですが,有毒なレンゲツツジは園芸種として人の生活圏に植えられることもあり植物の同定に自信がない場合はお散歩中の誤食や花の根本の蜜を吸うなどの行為は控えた方が良いでしょう。

参考

  • MORAN, Neil C., et al. The pharmacological actions of andromedotoxin, an active principle from Rhododendron maximum. Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 1954, 110.4: 415-432.
  • SEVERINO, L. Toxic plants and companion animals. CABI Reviews, 2009, 2009: 1-6.
  • 医薬品情報21 http://www.drugsinfo.jp/2007/10/05-163400 2023/01/12参照
  • 自然毒のリスクプロファイル https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082085.html 2023/01/12参照