• 2023.08.02
  • 中毒

25:アボカド【犬】【馬】【その他】【中毒】

アボカドは人間以外の様々な動物に中毒を起こします。ペットでは犬、猫、ウサギ、ヤギ、鳥類に対する毒性が知られています。

概要

アボカドは人間以外の様々な動物に中毒を起こします。ペットでは犬、猫、ウサギ、ヤギ、鳥類に対する毒性が知られています。 従来はペルシンが毒性物質と言われていましたが、放牧中に地面に落ちたアボカドの葉または実を食べた馬が心筋障害を起こし死亡した馬の検体からアボカデン-1-アセテート(Avocadene 1 acetate)が検出され、心筋の繊維化に関連している可能性があると2022年に報告されました。このAvocadene 1 acetateがどのように心筋の線維化を引き起こすかはわかっていません。

臨床徴候(症状)

消化器の炎症、嘔吐、下痢、呼吸困難、鬱血、心嚢水貯留がみられ、死に至ることもあります。 鳥類はさらに毒性が強く、心拍数の増加や心筋の障害などを起こします。高用量では12〜24時間で死亡します。ウサギではアボカドの葉の摂取後に心不全を起こし死亡例が報告され,牛馬ヤギでは、葉や樹皮を食べた後に乳房炎も報告されています。 ペルシンおよび新規に毒性物質の一つとして同定されているアボカデン-1-アセテートがどのように中毒を発症させるかまでの病態生理解明までは至っていません。

原因物質

① アボカデン-1-アセテート(avocadene 1–acetate 推定)、②ペルシン(persin) ペルシンは葉や果物(種子や果肉)に存在し、アボカデン1-アセタートは葉や果物(種子、皮、果肉)に存在し、果肉により高濃度で存在していました。

中毒量

不明です。ペルシンに関しては60-100 mg/kgの用量で、授乳中のマウスの乳腺に対してアボカドの葉と同じ効果があることが示されています。

中毒を起こしやすい犬種・動物種

人間以外の動物(犬・猫・ウサギ・馬・ヤギ・鳥)はアボカドは強い毒性があることを認識しておくことが重要です。

催吐の必要性

不明

治療

死亡した犬の報告では治療として利尿剤や強心剤を使用していました。 あまり報告がなく、症状に対して対症療法を行うということになりそうです。

注意すべきこと

日本ではアボカドは自生していないので動物が自ら口にすることは少ないと思われますが,人間に対しては健康なイメージがあるので人間以外に心臓や諸臓器に対して毒性があることを抑えておきましょう。 また,犬のアボカド中毒の報告は少なく、ナイロビの農場で起こった2例の死亡例では症状や飼育環境からアボカドであろうという推定となっており、一般的に犬にどのような症状があるかに関しては統一した見解がないという留意が必要です。

参考

  • FREITAS, Marina S., et al. Acetogenin-induced fibrotic heart disease from avocado (Persea americana, Lauraceae) poisoning in horses. Toxicon, 2022, 219: 106921.
  • OELRICHS, Peter B., et al. Isolation and identification of a compound from avocado (Persea americana) leaves which causes necrosis of the acinar epithelium of the lactating mammary gland and the myocardium. Natural Toxins, 1995, 3.5: 344-349.
  • KOVALKOVIČOVÁ, Natália, et al. Some food toxic for pets. Interdisciplinary toxicology, 2009, 2.3: 169.
  • BUORO, I. B. J., et al. Putative avocado toxicity in two dogs. 1994.