- 2023.06.16
- 異物
12:ポリウレタン系接着剤【犬】【猫】【その他】【異物】
概要
ポリウレタン系接着剤とは分子中のイソシアネート基の反応を利用した接着剤です。プラスチック・金属・セラミック・木材など様々な物質に接着し耐寒性,耐候性,耐油性があることから建築や自動車など日常生活に欠かせない様々なものに使用されています。わんちゃんの体内に入ると元の4〜8倍の体積まで膨らみ閉塞する可能性があります。 家庭用の木工用のボンドでは主成分が酢酸ビニル樹脂を使われているものが多く,全ての接着剤がポリウレタン系というわけではありません。いっぽうで酢酸ビニル樹脂は皮膚や眼の刺激性もあるため,DIYを嗜まれる方などはわんちゃんの近くには接着剤や接着剤を使用した資材を置かないようにしましょう。
臨床徴候(症状)
ポリウレタン系接着剤による閉塞性異物は食道の埋伏と閉塞,気道の閉塞,消化管の流出傷害,粘膜出血,潰瘍,裂傷,食道と胃壁gastric liningsの穿孔perforation を起こし死に至ります。 症状としては食欲不振,無気力,嘔吐,品呼吸,腹部膨満と疼痛が摂取から12時間以内に見られることが多いです。
原因物質
木材用接着剤として販売された ジフェニルメタンジイソシアネートdiphenylmethane diisocyanateを含むポリウレタン系接着剤での消化管閉塞が報告されています。毒性があり中毒を起こしたというものではなく,物理的に詰まることでの消化管の損傷が主です。
閉塞を起こす量
小型犬種は少量の摂取で閉塞する可能性がより高くなります。
中毒を起こしやすい犬種・動物種
小型犬では中毒量も少なくなるので,少量の摂取でも中毒を発現する可能性があります。
催吐の必要性
吐かせる際に接着剤の一部が気道や肺に吸引されたり,食道に詰まる可能性があるため基本的には催吐は禁忌とされます。
治療
最も効果的で成功率が高いのは消化管の閉塞性異物を外科的に取り除くことです(内視鏡でも除去には信頼性が欠ける,と記載してあったので開腹での摘出を推奨していると思われます)
注意すべきこと
接着剤は種類を問わずペットがかじったりしない場所にしまいましょう。
参考
- FITZGERALD, Kevin T.; BRONSTEIN, Alvin C. Polyurethane adhesive ingestion. Topics in companion animal medicine, 2013, 28.1: 28-31.
- ウレタン系接着剤の概要 https://pu-portal.com/blog/223/ 2023/01/31参照
- ポリウレタン系接着剤とは http://www.maruya-t.co.jp/products/cemedine/um.htm 2023/01/31参照
- 酢酸ビニル樹脂の安全性 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/108-05-4.html 2023/02/10参照