• 2023.06.27
  • 中毒

13: ヒヤシンス【犬】【猫】【その他】【中毒】

ヒヤシンスには接触性皮膚炎のアレルゲンになるチューリポシドAおよびB,物理的刺激のもとになるシュウ酸カルシウムが含まれています

概要

球根で育てる花といえばヒヤシンス。小学生の時育てた人も多いのでは。ヒヤシンスには接触性皮膚炎のアレルゲンになるチューリポシドAおよびB,物理的刺激のもとになるシュウ酸カルシウムが含まれています。ペットが誤食しないようガーデニングやお散歩中はご注意ください。

臨床徴候(症状)

嘔吐、流涎、抑うつ、下痢がみられます。大量に摂取した場合は頻脈,呼吸困難(dyspnea)、皮膚のかぶれ(skin irritation)がみられる場合があります。

原因物質

シュウ酸カルシウム、チューリポシドA(tuliposide A)およびチューリポシドB(tuliposideB)。チューリポシドは花、葉、球根すべての部分に含まれます。tuliposideもシュウ酸カルシウムも球根に特に高濃度に含まれます。 tuliposide Aは皮膚炎のアレルゲン となることが知られています。また、シュウ酸カルシウムによる物理的な刺激で皮膚を傷つけます。 その他、現在知られていない物質も中毒に関与しているのでは?と言われています。

中毒量

不明です。特に球根には高濃度のシュウ酸が含まれるため注意が必要です。

中毒を起こしやすい犬種・動物種

特にありませんが好奇心旺盛な性格の子や子犬では気をつけましょう

治療

特効薬は存在しないため対症療法や支持療法が中心となります。皮膚に接触した場合は洗い流して取り除きます。 嘔吐があれば制吐剤を使うほか他の疾患を除外するための腹部X線などの可能性があります

注意すべきこと

ヒヤシンスに含まれるチューリポシドによる皮膚炎は人間では花屋さんやチューリップ栽培者でみられる職業性皮膚炎の原因になることが知られています。飼い主の方もガーデニングする際はペットが接触しないよう注意しつつ、球根は手袋をして扱うなどしたほうがよいかもしれません。

参考

  • BERTERO, Alessia, et al. Plants and zootoxins: Toxico-epidemiological investigation in domestic animals. Toxicon, 2021, 196: 25-31.
  • LEE, Justine A.; OXALATES, Insoluble Calcium. POISONOUS PLANT DANGERS TO DOGS AND CATS TOXICOLOGY.
  • LIESKE, C. Spring-blooming bulbs: A year-round problem. VETERINARY MEDICINE-BONNER SPRINGS THEN EDWARDSVILLE-, 2002, 97.8: 580-588.
  • 麻生五月; 須貝哲郎; 長野拓三. 職業性植物皮膚炎の 5 例. 皮膚, 1985, 27.3: 522-527.
  • Knight A. Guide to Poisonous House and Garden Plants https://www.ivis.org/library/guide-to-poisonous-house-and-garden-plants/hyacinthus-orientalis-hyacinth 2023/02/12参照
  • チューリポシドBの抗菌活性について https://dbarchive.biosciencedbc.jp/yokou/pdf/2008/200802660260296.pdf 2023/02/12参照